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 名古屋市の位置する尾張平野の東方には、尾張丘陵と呼ばれるなだらかな丘陵地が広がっ

ています。岩崎城のある日進市は名古屋市の隣に位置し、この尾張丘陵の中に位置していま

す。丘陵傾斜地に土層断面が露出している場所には太古の昔より様々に繰り返された自然

環境の変化の中で、砂礫、砂、粘土の層が交互に堆積してきた様子が見られます。この砂礫

、砂、粘土の層が交互に堆積する地層を「瀬戸層群」と呼んでいます。「瀬戸層群」は今

から約400万年前に現在の伊勢湾を中心に存在していたと考えられる「東海湖」の堆積物

が地層となったものです。
 
 日進市の一帯は、粘土層(陶土)と燃料資源(森林の存在)に恵まれた土地であり、古代

から中世にかけて窯業が発展してきました。
昭和29年ごろ、愛知用水建設工事(昭和36年

完成)が進められる中多くの窯跡が開発工事により失われることとなりました。

 そのため愛知県教育委員会は尾張丘陵の窯跡の分布調査を実施、その結果地理的関係等

から7区域(東山〈名古屋〉・岩崎〈日進〉・折戸〈日進〉・鳴海【鳴海・有松支群】

〈名古屋〉・黒笹〈三好〉井ヶ谷〈刈谷〉・瀬戸〈瀬戸〉)に分けることができました。

 これらはどこからでも猿投山が遠望できることから「猿投山西南麓古窯跡群(さなげやませいなんろくこようせきぐん)

(通称・猿投窯)と呼称されるようになりました。 


猿投窯の位置
  猿投窯の操業期間は五世紀から十四世紀まで約

900年間もの長きにわたっています。

窯跡も千基を超えると推定され、現在でも全国的に

有名な瀬戸・常滑地方において発展した窯業よりさ

らに古い時代のものです。また当時先進的であった

灰釉陶器(植物灰を主成分としたをかけたもの)

緑釉陶器(鉛を主成分とした緑色の釉をかけたも

の)が出土し、同じ猿投窯の製品と思われる陶器が

平城京跡・平安京跡などから発見されました。

 このことから奈良・平安時代にはこの地域に一大

窯業産地があったことが伺えます。

 
 また中世・瀬戸窯業の釉を使った製品や、常滑窯のなど大型製品は猿投窯の流れを汲む

ものと考えられます。日進市は猿投窯の分布するほぼ中心地に位置しており、約160基の

窯跡が確認されています。その中で遺跡の残存状態の良好なものの一つである香久山古窯

(岩崎−45号窯)が調査後、保護覆屋が設置され、現在香久山五丁目・すずかぜ公園内に

おいて見学ができるようになっています。  →日進市ホームページ

 窯跡から出土した陶器などは岩崎城歴史記念館に保管され、一部展示されています。

  主な出土品


長頸瓶(9世紀)−折戸84号窯
 【灰釉陶器
長頸瓶の成形技術は、ろくろ台上で頸部

と体部を別々に成形し、糸で陶土塊より

切り離して両者を接合する方法が推定さ

れますが、左の遺物はろくろ台上で体部

から頸部まで連続して同時に作られてい

ます。高台際まで全体的に灰による釉が

かかっていますが一部分釉のはげている

箇所があり釉のかかり具合がよくわかる

ようになっています。

(茶色がかった部分が灰釉です。)


碗(10世紀)−岩崎24号窯
 【緑釉陶器
粘土を硬質に焼き上げた白色素地に鉛が

主成分の緑釉が施されています。陰刻文

様が施されているものが多く、宮中儀式

や年中行事に使われていました。上の遺

物は淡緑色で光沢があり、内外全面に施

釉されています。日進市にある窯跡から

はこの一つしか発見されていません。岩

崎城歴史記念館にて実物を見学していた

だけます。


陶印(9世紀〜10世紀)−岩崎24号窯
は頂部の片側が一部欠落しています

が、直線的な山形で「狐」に属すると

考えられます
印面は『両村』と読め、

「正倉院文書」に見られる『山田郡両村

を指していると考えられています。そ

の郷長が私印として用いたとする説もあ

ります(「日進町誌」)が、詳しい用途

はまだわかっていません。山田郡は古代

・尾張国の東北部に存在し、現在の日進

市とその周辺地域も含まれていました。

陶印が窯跡から出土した例は少なく大変

珍しい遺物です。岩崎城歴史記念館にて

実物を見学していただけます。
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tel      
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fax      
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