長頸瓶(9世紀)−折戸84号窯
【灰釉陶器】 |
長頸瓶の成形技術は、ろくろ台上で頸部
と体部を別々に成形し、糸で陶土塊より
切り離して両者を接合する方法が推定さ
れますが、左の遺物はろくろ台上で体部
から頸部まで連続して同時に作られてい
ます。高台際まで全体的に灰による釉が
かかっていますが一部分釉のはげている
箇所があり釉のかかり具合がよくわかる
ようになっています。
(茶色がかった部分が灰釉です。)
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碗(10世紀)−岩崎24号窯
【緑釉陶器】 |
粘土を硬質に焼き上げた白色素地に鉛が
主成分の緑釉が施されています。陰刻文
様が施されているものが多く、宮中儀式
や年中行事に使われていました。上の遺
物は淡緑色で光沢があり、内外全面に施
釉されています。日進市にある窯跡から
はこの一つしか発見されていません。岩
崎城歴史記念館にて実物を見学していた
だけます。
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陶印(9世紀〜10世紀)−岩崎24号窯 |
鈕は頂部の片側が一部欠落しています
が、直線的な山形で「狐鈕」に属すると
考えられます。印面は『両村』と読め、
「正倉院文書」に見られる『山田郡両村
郷を指していると考えられています。そ
の郷長が私印として用いたとする説もあ
ります(「日進町誌」)が、詳しい用途
はまだわかっていません。山田郡は古代
・尾張国の東北部に存在し、現在の日進
市とその周辺地域も含まれていました。
陶印が窯跡から出土した例は少なく大変
珍しい遺物です。岩崎城歴史記念館にて
実物を見学していただけます。
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