Enchante音楽教室
ニ胡専科
●本当はあまり教えたくない?常識・非常識
●教本では教えない常識・非常識 Q&A
インデックス (項目)
●楽器編 材料や価格帯、選び方など ●弓について ●千金について ●弦について ●松脂(松香)について |
##### 楽 器 編 #####
Q 初心者は、いくらの楽器を購入したら良いでしょうか。
A この先長く続けたいならば、8万円以上の中・上級者用ニ胡を買ったほうがおすすめです。
なぜならば、数年弾いていると必ず上級機種が欲しくなるからです。理由は、価格帯により音響部分の皮の厚みが違うため、安価なものだと数年以内で故障が生じたり、音質や音響的により良いものが欲しくなるからです。
また、どれくらい弾き続けるかわからないのでしたら、逆にできるだけ安価なものにしておくのも一つの考え方です。
そうすれば、もし長年続けることになっても買い換えする時の負担は少なくなります。
買い替えの時は思いきりこだわって本当に気に入った上級者用二胡を購入してください。ただし、よくわからない方は、先生にお任せした方が良いでしょう。
上級者の二胡だからといって、初心者にとって弾きにくいわけではありません。
いい音の二胡は一生の宝です。
どれだけお続けになりたいのか、よくお考えになってからご予算と照らし合わせながら購入しましょう。
ご自身がどれだけ納得して購入するかが、一番大切なことです。
★材料と価格について(参考資料)
初心者、入門者用ニ胡 ・・・ 2〜7万円 材質:紅木または花梨
中級者用ニ胡 ・・・ 8〜15万円 材質:黒檀(鳥木)
上級者用ニ胡 ・・・16万円〜 材質:黒檀、血檀または紫檀
上級者/専門家用ニ胡
・・・20万円〜材質:紫檀または骨董老紅木など
Q ニ胡の価格はどのようになっているのですか?
A おおよそは以下のようになっています。
2〜8万円 材質:紅木または花梨
8〜15万円 材質:黒檀(鳥木)
16万円〜 材質:黒檀、血檀または紫檀
20万円〜 材質:紫檀や骨董老紅木
というようになっていいますが、それぞれの材料による特長があるので、一概に高いから良い材料とも言いきれません。
たとえば、紫檀や老紅木は明るく乾いたヴァイオリンに似た音がします。でも、比較的価格の安い黒檀でも本当にいい黒檀ですとその音色は、あまく哀愁のあるうるおいのある独特のいい音や、楽器によっては明るい力強い音が出ます。
これはこれで素晴らしい特長のある材料だと思います。
価格に差が出るのは、木材の入手の困難なものほど高価になるということ。それと、使う人の好みや人気のあるものほど高価になるということです。
必ずしも楽器としての価値の差とはいいきれません。
以上は、木材料による分類でしたが
ニ胡の価格は、胴体の木材の材質 + 蛇皮の材質
によって決まります。
蛇皮は厚みや蛇の大きさ年齢などによって変わります。
一般的に厚くて大きくて、年齢の多いものほど高価になります。
ただ現在は、木材の材質の価格ランクに合わせて蛇皮のランクも合わせてありますので、たとえば黒檀で最高級の蛇皮という組み合わせは特別注文でしか手に入れられませんし、価格も割高になってしまいます。
Q 老紅木は紅木の古くなったものですか?
A ある教本では、老紅木が紅木の長年乾燥させた材料かのように解釈してしまうような説明がしてありました。
老紅木は、紅木とは別の材料でかつて中国の高級家具に使われた材料です。非常に重くて加工しづらいのが特長ですが、年数が経つほど貴重で色も黒っぽくなり音響効果がすばらしい材料です。
原木としては、中国国内のものはほとんど伐採され尽くされたといわれています。
新しい老紅木は、タイ(泰国)などから輸入されたものです。
Q 蛇皮は、うろこの大きいものほど高価である?
A うろこが大きいということは、その蛇が大きいということを表しています。
その意味からは、必ずしも間違ってはいませんが、それよりも大切なことは皮の厚みと硬さや弾力です。
たとえば、大蛇の皮でもうろこは大きいとはいえない物があり楽器に使うとしたら蛇1匹からほんの数枚しか取れない貴重なものもあります。
ただ、うろこの大きさがまばらな物や、左右・上下で大きさのグループが違うものは小さくて若い蛇のものですから、購入は避けた方がいいでしょう。
##### 弓について #####
Q 弓毛の張り具合はどのくらいがいいの?
A 教本には、張りすぎず緩め過ぎないのがいい・・・
というように書いてあります。
書いてあればいいほうで、全く触れていない
教本の方が多いくらいです。
基本的には、師事している先生に聞くか、真似るのがいいでしょう。
でも、どれくらいの張り具合がいいかについては、その特長を知って最終的にはご自身で決めてください。
一般的に、張ると音の立ち上がりが早くなり、明るい音になります。
でも、キンキンした冷たい音や硬い音になりやすい欠点もあります。
緩く張ると、音色はまろやかになり、暖かみのある音になります。
でも反対に、立ち上がりの鈍い音になりやすい欠点もあります。
また八角胴や円胴のニ胡を弾くときは、弓毛はあまり緩めません。
それは外弦を弾く時に弓竹の部分が蛇皮に当たってしまうからです。
その日の、湿度や楽器のコンディションによって弓毛の張り具合を変える場合もあります。
Q ニ胡の弓は、北京式と上海式どちらがいいの?
A 基本的には、師事している先生に従うのがいいでしょう。
ただ、今は独学だという方や迷っている方のためにアドヴァイスをしましょう。
北京式と上海式は、弓毛の付け方が違います。
また、竹の質(長さや弾力)が違います。
弓毛の張り加減は人さまざまではあります。
そこで、
・比較的強く張りたい方は、北京式と上海式のいづれも可。
・比較的緩めでお弾きになられる方は、上海式がいいです。
理由は、北京式のものでは緩めに出来ないものがあることと、緩めにすると特に内弦を弾こうとする時に、弓毛が外れる恐れがあります。
Q 弓の寿命はどれくらい?
A 頻繁に松脂をつけなくては音が響かなくなってくると、そろそろその弓の毛が寿命になってきています。
また、弓の繊維のうち数本だけが緩んでくると切りますが、弓毛の本数が少なくなってきても寿命と考えて弓の新品を購入すべきでしょう。
弓の毛換えは中国国内でも行っているところはほとんどないので、新調することになります。
弓の毛の寿命は、短いもので数か月、長いものでは数年です。
ただし練習量や弾き方によりましてかなりのばらつきはあります。
Q 駒、弓について一つだけ持っていればいいの?
A できたら、複数持っておいたほうがいいと思います。
弓や駒が変わると、音色も音量も変わります。
演奏していると、ある特定のポジションや音程になると雑音になったりいい音のしにくいところが出てくることがあります。特に楽器が新しかったり、蛇皮が張りたてのときには起きやすい現象です。
そんな時や、湿度や楽器のコンディションに変化の感じられる時に弓毛の張り具合を変えてみたり、弓を変えてみたり、駒やコンジーディエンを変えてみてください。
人間の髪の毛の質がさまざまなように、弓毛に使う馬の毛も毛質はさまざまです。
##### 千金について #####
Q 千金の位置は、どこがいいの?
A いくつかの教本には、胴体に肘を当てて棹に平行に指を伸ばした時に小指の第2関節に置くのが適正な千金の位置であると記してあります。
確かに、左指の指を置く時の開き具合は無理のない位置になります。その意味からは、適正な位置であるといえましょう。
ですが、ニ胡の音響的な見地からすると必ずしもベストであるとは限りません。駒から木軸の方向に計って40cm前後が音響的にはいいので、無理のない範囲でかまいませんのである程度はこの位置を意識したところに千金をもってこれたらいいでしょう。
手の小さい方は、小指の第2関節の位置から1〜1.5cm木軸に近づけるようにしてみてください。
音色と音量が変わります。
##### 弦について #####
Q 弦のお手入れ方法は?
A スチール弦の劣化に影響している原因として、手の汗などに含まれている塩分が考えられます。
塩分そのものは、スチール弦の劣化(錆)には全く関係しません。
しかし、例えば塩分には、水分を吸着するという性質があります。そうして保持した水分が、結果としてスチール弦を錆びさせる原因となります。
対策としては、練習の後は丁寧に汗を拭うことを心がけることです。
Q 調弦はどうすればいいの?
A 目で確認できる電子チューナーが、初心者にはお勧めです。あまり高機能の値段の高いものよりも安くてシンプルなものの方が使いやすいでしょう。
内弦をレ(D)に、外弦をラ(A)になるように合わせます。
Q 調弦の時、木軸が動いて合わせにくい時は
どうすればいいの?
A 木軸の棹との接触部分に、チョークを塗るのが一つの方法です。似ているからといってベビーパウダーを塗ると、よけいに滑って合わせにくくなるので注意してください。
あと、販売店や専門家に相談されれば適切に対処してくれるはずです。
##### 松脂(松香)について #####
Q 松脂(松香)はどのように塗ればいいの?
A 弓には、松脂を塗らないと弦をこすっても音は出ません。弓のうらとおもてに、端から端まで少したっぷりめに丁寧に力加減は少し弱めに塗ります。
いくら塗ってもうまくいかないとき、松脂の表面がつるつるしていることがあります。松脂の表面を爪やカッターの刃などで少し傷をつけてみてください。そしてゆっくりやさしく塗ってください。
Q どのくらいの頻度で塗ればいいですか?
A 毎回塗るタイプの人もいますし、数日にいっぺんの人もいます。
練習量や弾き方で変わりますが、松脂が少なくなると摩擦が減ってすべるような感触になったり、同じ音量を出すにも多く力がいるようになったりします。そうなったらすぐに塗ってください。
Q ニ胡本体に付いた松脂はそのままで良いの?
A 胴体や棹に松脂がこびりつく前に、こまめに掃除してやります。
布で拭いても取れなくなったら、気にならない人はそのままでもかまいませんが、気になるほどにこびりついてきたらアルコールでふき取ります。
アルコールは蛇皮に少しくらいついても気にすることはありません。
紫檀の類の二胡は、アルコールで拭くと木の色素が溶けて布につくことがありますが、心配はありません。
ただしニスや塗装してあるものは止めておきましょう。はげてしまいます。
気になるなら、目立たないところで試してから判断してください。
Q 松脂はどれを使っても同じ?
A 産地やメーカーによって違います。必ずしも中国製にこだわる必要はありません。
やわらかいものはその音色もやわらかくなり、かたいものは、くっきりとした明るい音になります。
また、成分により夏に向くもの、冬の気温が低く乾燥したときによい効果の出るものなどがあります。
ただし、楽器を見違えるほどに変わるわけではありません。
音色と弓の動かし具合が、重い、軽い、柔らかい、硬いという感触に違いが出てきます。
松脂は、ニ胡店のほかにヴァイオリンを扱っているお店で購入できます。
##### 演奏・技術 編 #####
Q のこぎりのような? ギシギシという音しか出ません。
A 特に最初の段階では、この音がなやみの種ですよね(笑)
まったく初めての方でも、こういった雑音がしない方もいるのも事実です。
では、なにが違うのかといいますと、弓から弦にかける力が強すぎます。
弦と弓の「ほどよい摩擦」が、あの心地よい音の理由です。
肩・ひじ・手首の力をできるだけフラットにしてください。
それと、以外に弓と弦の交わる角度にも、問題のある方が多いですよ。
交わる角度は、90度を保つように、鏡などで観察しながら練習しましょう。
Q ある特定の音になると、キイーッという甲高い音がします。
A これの原因には、3つ考えられますね。
1つは、松脂不足でカラすべりしています。松脂を塗って下さい。
2つめは、弓の弦にかける重量が少なすぎる場合です。
すこしだけ、手の重みを余分に弓にかけてください。
3つめは、楽器固有の共鳴音(ウルフトーン)の場合があります。
この場合には、上の1と2の対策に加えて、左指の押さえを少しだけ強めに押さえてみて下さい。
(開放弦の場合には1と2の対策のみとなりますね)
これが、楽器を選ぶときの基準のひとつになります。
どこに、ウルフトーンがあるかということを知ることですね。
そうすると、楽器選びはやはり専門家にまかせるのがいいと思います。