Lieferplan
文字通りでは納入計画ですがErhard Milchが初めて作成した
1935年のNr.1から、彼がGLを解任される直前の1944年5月25日に
承認されたNr.226まで約30回作られた軍用機の生産計画を
指します。
1935年の前半にJu86、Do17、He111等の新型爆撃機の開発に
メドが立ち始め、Rheinland Programに変わる新たな生産計画
が必要となりました。MilchはRheinland programより更に1305
機を増産する計画を作成し、1935年10月にLieferplan Nr1と
して各メーカーに提示しました。
この計画は名目上トータル11,568機の生産計画でしたが、
生産済みの軍用機が、練習機または輸送機として多数含まれ
ており、第一線機としては970機の戦闘機、1849機の爆撃機、
1001機の偵察機、462機の海軍機を1936年4月1日までに整備
しようとするものでした。
この計画はドイツの工業生産力をフル活用しようとするもの
でしたが、大きな弱点は計画達成に必要な原材料の多くを輸入して
いた事で、軍用機を増産する程に輸出産業に振り分けられる労働
力が少なくなり、原材料購入の為の外貨が不足すると言う矛盾を
内包していました。1935年末に原材料価格の高騰とドイツの食料
生産の不振が重なると言う危機が発生し、経済担当大臣のSchacht
と農業大臣のDarreの間に、食料輸入を巡って論争が起きましたが
、Hitlerから処置を任されたGoeringはDarreを支持して、軍備拡張
のペースダウンを覚悟の上で食料輸入の拡大を決断しました。
ドイツ国民のNSDAPに対する支持低下を恐れるHitlerはこの決断を
好感を持って迎え入れ、Goeringは一段の信頼を獲得しました。
一方軍事力の拡大の為の資源の不足に対してHitlerは積極的に
調整に関与せず、各軍部の駆け引きで配分が決まる状態が続き
ました。
この後、新鋭機開発の進展に応じて1936年3月21日にNr2、同年7月
1日にNr3が続きました。
一方、1936年3月にHitlerは経済的危機に対してVersailles態勢
を否定することで解決を図る姿勢を示してRheinlandに侵攻し、
また同年7月16日にはSpain内戦への参戦が始まりました。
こうした中でドイツは自給自足の経済体制を実現により本格的戦争
に備える為、Vierjahresplan(4ヵ年計画)を開始し10月18日
にGoeringがBeauftragter(責任者)に抜擢されました。
この結果、彼が資金、資源、労働力の分配に対して決定権を握り、
ったことによりLuftwaffeは陸軍、海軍と比較して軍備拡大に対
して比較的優位な地位を獲得しました。
ドイツの拡大政策の結果、欧州の列強も軍備増強に踏み切り、
対抗して、ドイツも一段の軍備拡張に走らざるを得ない状況
となって、1936年10月1日付けで大規模な軍用機生産計画としてNr4
が発行されます。それは1938年3月31日迄に4000機以上の新型機
を生産しようと言う野心的なもので、新たにBf109、Bf110,Ju87等
が計画に加わっていました。
(下は初期のPlanの一覧です。決定日が開始日より後に
なっている場合が有るのは、前から進んでいるプランに継ぎ足す
形で次のプランが決められる場合が多いからです。)
番号 | 決定日 | 開始日 | 終了日 | 備考 |
Nr1 | 1935/10/25 | 1935/10/1 | 1936/4/1 | トータル生産機数11,156機(1933年より) |
Nr2 | 1936/3/21 |
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トータル生産機数12,309機(同上) |
Nr3 | 1936/7/1 |
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小変更 |
Nr4 | 1936/10/1 | 1936/10/1 | 1938/4/1 |
4000機以上の第一線機生産計画を追加 トータル生産機数18,000機(同上) |
Nr5 | 1937/2/21 | 1937/4/1 | 1938/10/1 | トータル生産機数18,620機(同上) |
Nr6 | 1937/9 | 1937/9/1 | 1939/4/1 | トータル生産機数22,200機(同上) |
Nr7 | 1938/4/1 | 1938/1/1 | 1939/7/1 | トータル生産機数22,681機(同上) |
Nr8 | 1938/8/15 | 1938/4/1 | 1940/4/1 | Bf109,110,Ju88等、7896機の生産計画を追加 |
Nr9 | 1938/11/15 |
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1942/4/1 | Verfuenffachungの第一案 |
Nr10 | 1939/1/24 | 1939/1/1 | 1942/4/1 | Verfuenffachungの第二案 |
Nr11 | 1939/2/28 | 1939/4/1 | 1942/4/1 | Verfuenffachung最終案 |