世界一の
茶 つ ぼ |
岐阜県瑞浪市陶町大川 |
世界一大きな「茶つぼ」が瑞浪市に有る事を知り、どんな物か好奇心に駆られて住所を調べ現地へ行って見る事にしました。 名古屋市緑区から目的地とする、「八王子神社」までは約45kmでした。カーナビで調べた所、一般道と高速道で距離を測定してみたのですが、時間も距離も大差は無いと言う結果でした。しかし疑問は、高速道路を使った場合、一般道で走るよりも時間短縮になるのが普通ですが、到着時間が数分しか違わないと言う結果が出た事に納得出来ませんでした。 納得出来ないまま一般道を使い、名古屋市から瀬戸市を抜けR363を恵那市に向かって走りました。そして以前通行した事がある道だと思っていると、曽木公園の横を通りました。曽木公園と言うのは紅葉の名所で、夜ライトアップし池に映る紅葉は非常に綺麗である事から、その時期になると大勢の観光客が訪れ大変な大賑わいになります。この曽木公園には3回程紅葉見物に来た事がありました。 その紅葉で有名な曽木公園から3km程で世界一の茶つぼが置かれている八王子神社に着きました。こんなに近い所なら紅葉を見た後寄れば良かったと後悔しました。 大茶つぼの有る場所は、八王子神社の森の裏との情報でしたので、ナビで八王子神社を目指しました。八王子神社の森の裏と言う情報が大間違いの元だったのです。 |
![]() 神社の境内に入ろうとしたのですが、駐車場が無いので横の通行に邪魔にならない場所に駐車し、八王子神社の鳥居を潜りました。そしてこの神社の森の奥に世界一大きい「茶つぼ」が有る事を信じて・・・・・・。 |
![]() 世界一の美濃焼こま犬。 |
世界一の美濃焼こま犬概要。 ○製作趣旨 市制35年を記念し国道419号の起点と終点の瑞浪市、高浜市が産業、教育、文化、スポーツ等の交流と親善を深めるため、平成元年8月姉妹都市の提携を結んだ。その記念として、国道419号の起点瑞浪市陶町(すえちょう)大川の地に、広く地域住民の参加のもと伝統産業を活かし、自ら考え、自ら行う地域づくり「ふるさと創生自業」として、市の文化財に指定されている。 大川窯四代目羽柴与左衛門景度の美濃焼こま犬をモデルに世界最大の美濃焼こま犬一対を制作した。 ○こま犬の概要 阿形像 高さ 3.30m 幅 1.56m 奥行き 2.40m 吽形像 高さ 3.29m 幅 1.51m 奥行き 2.36m 総重量 15t (一対)の陶器質陶土による黄瀬戸柚一体成形焼物 ○使用陶土 15t 瑞浪産出陶土 70% 大川古窯出土匣鉢シャモット 20% 高浜市瓦土 10% ○こま犬制作延べ日数 183日 ○制作延べ人数 1.000人 ○焼成時間 273時間(約12日間) ○焼成使用薪 5.000束 ○窯の構造 倒炎式薪窯 ○制作 世界一のこま犬を作る会 この世界一の美濃焼こま犬は「ふるさと創生一億円資金」と(財)とうしん地域振興協力基金の配分を受けて制作したもの。 |
大こま犬の下の子こま犬。 |
![]() (瑞浪市指定文化財)美濃焼狛犬郡 こま犬の置かれた坂を上ると八王子神社本殿にも行けます。 |
美濃焼狛犬郡( 瑞浪市指定文化財) 狛犬は、中世では多くが小型の石製や木彫のものが本殿の左右の縁に据えられているのが普通であった。 しかし、彫刻が難しいところから陶器に関係の深いこの地方では、江戸の中期以降に神社の氏子や信者たちが、個人又は共同で庇護や利益の祈願報謝の意味をこめて、陶製狛犬を奉納するようになったといわれている。 しかし、これらのうち半数が無名で、年代も作者も一部しか判明していないのは残念であるが、この大川八王子神社の五対余りのうちに「羽柴与左衛門影度作」在銘のものがあることは大変貴重なことである。 この景度の先祖は、室町後半期の文明六年(1474年)武蔵国久良岐郡(神奈川県横浜市付近)より移住してきた加藤左衛門尉景信で大川窯を開き景光、景忠と続き、景度の時代で全盛をきわめ、その製品は「与左焼」と呼ばれ広く世間から賞用された。 その銘の有る狛犬は、小型ではあるが与左衛門の元亀、天正頃の作と考えられ、その力作のすばらしさを現している。 |
八王子神社鳥居。 |
この階段を上ると本殿です。 |
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![]() 八王子神社本殿。 階段を上がると左に舞台が有り、正面が本殿です。 |
本殿にお参りし、目的物である「大茶がま」を探し周りを歩きましたが、それらしきものは無く、人気も無く、案内の看板も見当たらない。情報によると森の奥にあると聞いたので、山を登って小高い所に有るのだろうと勝手に想像していると、御夫婦が坂を上がってくるのを見た。ここまで来て茶つぼを見ずに帰るわけにはいかないので、挨拶をしながら、茶つぼの事を聞いてみたのですが、そんなものはこの近くには無い筈ですヨと言われた。そしてその後の言葉には驚いた!我々もここに来たのは初めてですから・・・・・ 兎に角、山を暫く登った。そして小高いところから下を見ると2軒の人家が有ったので、坂道を下り周りをうろつきましたが人気は無いので、意を決してチャイムを鳴らしましたが全く応答が無いので、諦めて迷いながら別の道を引き返しました。そして遠くを見ると2人が人家の屋根に上り、瓦の作業をしているみたいでした。屋根の人に聞いてみなければ今までの苦心も徒労に終わると、藁おも掴む思いで茨の有る山道を進みました。早く行かないと帰られたら大変になると必死に歩きました。そしてもう少しで近づけると思った所で、山が削れた5m程の段差に成っているではないですか!周りを見ましたが降りる所が無く愕然としました。仕方が無いので声が届くかどうか分からないが、大声を出して聞いてみました。スミマセーンと手でメガホンを作り2~3回叫ぶと此方を見てくれました。声が届いた事に感激し、続けて大茶つぼの場所は何処かゼスチャーを交えて伝えると、2人で何か話した後、直ぐそこに見える青い屋根に茶つぼが有ると教えてくれました。地獄に仏とはこの事かと丁寧にお礼を叫び、言われた方向へ歩きました。後で分かった事ですが、そのまま山を降りれば茶つぼに辿り着けたのでした。分からない事が分かれば今までの模索は無駄な努力の様に思えます。分からない時は非常に難題だと試行錯誤しながら考えを巡らすのですが、回答を得られるとこんな簡単な事に全能を注ぎ込んだのかと自分の知能の浅はかさに失望するのですが、しかし根性で分からないものを探し遂げた達成感は充分味わえました。 |
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世界一の茶つぼ 「豊穣の壺」 世界ギネス認定 |
瑞浪市の「地区由来の焼き物制作事業」として、陶町に多く点在する古窯の一つである。大川窯の著名な陶工、四代目羽柴与左衛門景度作と伝えられる茶つぼを基に、陶町街づくり推進協議会の主体事業と位置づけ平成10年1月に政策委員会が設置され、春夏秋冬を通し、基礎工事、築炉、本体茶つぼ制作、松割木作り、本焼成と、お年寄りから子どもまで5,000人という地域住民参加によるボランティア作業により世界一の茶つぼが出来上がりました。 縄文の昔、人々は土器の焼け具合でその年の豊凶を占ったと伝えられています。 この大茶つぼは、地域に永久なる豊かな稔りを約束し、21世紀に向け、明るい未来の息吹を感じると言われた梶原拓岐阜県知事により「豊穣の壺」と銘を付けられました。焼き物づくりに対する住民のロマンスが、子供達に大きな夢を与え、地場産業の繁栄と住民の健勝を祈願し完成しました。 |
豊穣の壺銘 |
世界一の茶つぼ 概要 |
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○茶つぼ 陶器質陶土による一体成型茶つぼ 高さ 5.4m 直径 4.0m 使用陶土 32t 釉薬 鉄釉 ○窯 倒焔式薪窯 窯量 130㎥ (内寸4.7m、外寸6.7m、内高5.9m) 台車 140台 レンガ、 カートップ (窯) 16,000丁 (煙道) 2,600丁 (煙突) 2,000丁 モルタル 200袋、 より土 4t コンクリート 20㎥ 総重量 420t ● 製作日数 365日 ● 参加延べ人数 12,000人 ● 焼成時間 300時間(13日) |
![]() 大茶がまは貧弱な青い屋根の建物の下にありました。 煙突の高さは15mです。 |
大茶つぼの下の狛犬。 |
大茶がまに掛けられた網縄。 |
バス停から見た大茶がま。 |
名古屋からR363を直進し、大狛犬が見えた三叉路で八王子神社の方に右折したのですが、大茶がまもを見に行く場合は、三叉路を直進し200m弱で「与左衛門窯」のバス停が有り、直ぐ後方に大茶がまが展示されている、青い屋根の建物が有るので簡単に分かります。情報では八王子神社の森を超えると、大茶があると間違いを信じたので大変な遠回りで苦労してしまいました。 世界一の狛犬と茶がまは他の場所で焼き、展示されている場所まで運ばれて来たものと思い込んでいたのですが、それは間違いで、展示されている場所で土を練り、本体成型し、焼成窯を作り、火入れしそのものが出来てから、窯周辺をレンガで囲い、保存のための建物を建設したそうです。 ギネスに認定されている珍しい物ですから、道路標示をしたり宣伝をすると、もっと人気が出るのではないかと予想されます。 自分が知らないだけで身近に世界一とか珍品が、まだまだあるのかも知れません。 |
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