Experten Decals ED-3
August 2001
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Translated by N.Dejima
ADDENDUM:
Fw 190 D-9 “R4M Dora”, I./JG 301
主翼下にR4M空対空ロケットを装備したFw190D-9がいくつかの文献
によって知られています(1,2,3)。写真から単純な木製の四角形の
発射レールに各13発のロケット弾が取り付けられたことが分かりました。
これは我々の最初の出版(1)で紹介したような14発で無く、ここで引用
されたFocke-Wulf(1)とRLMの文書にあった12発でもありません。
また当初はR4Mを搭載した機体は赤と考えられるRVバンドからJG1
の所属としましたが、Doraのバックの森の状況は米軍が多数のJG301
の機体を発見した南ドイツで撮影された写真とほぼ同様である事
から、このDoraもJG301の所属だと考えられます。その後発見された
資料と調査もこの考えを支持しています。
R4Mを装備したDoraについて別の情報もあり、1945年5月5日に
多数のLuftwaffeの機体が北ドイツからノルウェーとデンマークへ
脱出していますが(2,3)、南ノルウェーのLister飛行場に何機かの
戦闘機が着陸しました。その中にU/JG26に所属した5機のFw190
D-9があったことが写真から確認できます(2,3)。
その内の3機の主翼下面にはロケット弾がとりつけられており、全て
R4Mと考えられます(4,5)。これらの機体のリストを以下に示します。
Fw190D-9,W.Nr.210954, 2*MG151,26ロケット弾
Fw190D-9,W.Nr.400619, 2*MG131,2*MG151,26ロケット弾
(白1、5/JG26?,引用4の写真を参照して下さい)
Fw190D-9,W.Nr.210069, 2*MG131,2*MG151,26ロケット弾
この3機のJG26のDoraの内2機は210000番台の機体であり、1機は
最初の生産ロットに属します。このことは筆者による、R4Mは初ロット
のWNr2100??から使用されたと言う解釈に一致します。
胴体のBalkenkreuzの後ろのStaffelマークが有りませんが、この
(訳注:JG301の)機体と白1の直前のマークに関する証拠が有り、
もともと描かれていなかったことが分かります。
赤と考えられたReichsverteidigung帯は後ろに黄色帯を伴っており
上部が地上で視認されることを防止する為に暗い色(81又は83)
で上塗りされていたようです(白1でも黒/白のJG26のRV帯の上に
迷彩がされています(4))。これらの観察結果と解釈から表題の機体
はJG301のIGruppeの知られていないStaffelに所属し、多くのJG
301の公表された写真から良く知られているように、それらには
赤/黄または黄/赤の帯が描かれていました。
写真による証拠に加えて、この機体がI/JG301に所属することを
支持するいくつかの文書があります。我々のExperten Bookの
発表の数ヶ月後に以下のLuftwaffeの命令書が発見されました。
それは1945年3月22日付けで、この兵器の使用状況をより明ら
かにするものでした(6)。
SSO LSCW 694 22/3 (1510)
SSD LW Fuhrungsstab IA
SECRET!
GLTD SSD LW Fuhrungsstab IA
SSD NACHR. LW. ORG. STAB 2. ABT.
1)R4Mと21cm発射器を装備したFw190D-9が配属された実戦試験
Staffeln(Erprobungsstaffeln)の活用についての提案
A)機体は現在そのStaffelnが指揮管理下におかれている
Geschwaderに引き継がれる。
B)乗務員と技術スタッフはJagdgruppe10に戻る。機体は
現在指揮命令を行っているGeschwaderに所属する
乗務員により作戦に用いられる。
2)Jagerfaustを装備したFw190A-8とA-9が配属されたStaffelは
3月27日よりJG301の実戦管理下で行動するよう準備すること。
技術スタッフは1)に示すようにJagdgruppe10に戻る事。
3)Jagdgruppe10を至急解散する提案がなされている。
これは重要な文書であり、元来JGr10に所属した機体(D-9)を戦闘
評価の為に実戦部隊に移管し、作戦はそこで継続される事になった
ことを示しています。具体的な部隊名は示されていませんが以下の
文書からI/JG301とII/JG26でありそれが1945年の4月始めから
だった事が分かっています。さらにJG301はR4HI Jagerfaustを配備
したStaffelの運用の責任も持っていましたが、それがどのStaffel
だったかは分かっていません。The RLM’s War Diary of the
Chief: Technical Air Armaments,Flight Test Working Groupの
1945年2月26日から3月4日までの週の記載がこの部隊における
Ta152とFw190D-9(6)のR4Mテストに関する多くの情報を提供して
います。
Ta152への特別武装の装備
1945年2月の最後の週にParchimにある実験部隊JGr10に属する
Staffel全てのFw190D-9に空対空ロケットR4Mが装備された。
各Fw190D-9は2個のランチャーが取り付けられ各12条のレール
があったので全体で24発を装備する。JGr10は特にR4Mの試験
を任務としていた。R4MはLuftwaffeが実戦化した唯一の空対空
ロケットであり、弾頭には540グラムの高性能火薬を収容していた。
(R=Rakete, 4.4 kg=weight, M=Minenkopf).
これらのテスト結果から直ちに、Me262だけでなく、Fw190と
Ta152にもR4Mを装備する命令が出された。R4Mは、Ta152C-1
/R31とTa152H-1/R31に装備され、更にTa152H-1/R-11、
H-1/R21,C-1/R11に関しても命令が出され、改修される事にな
っていた。戦争終結までにJGr10はロケットで武装したFw190に加
え3機のTa152を保有する予定だった。R4Mが効果的である
事はMe262の成功により実証されていた。1945年4月2日には
Jagdgruppe10を解散する命令が出され、その結果2/JGr10の
R4M装備のFw190D-9はI/JG301に引き渡されることになった。
この命令が実行されたかどうかは不明である。
明らかにこの命令は実行されていました。興味深いことに、この
文書では、JGrの第2Staffelと特定していますが、他の研究者(恐
らく他のLuftwaffeの文書に基づいています)は第3Staffelと
述べています(7)。
1945年4月4日にFw190A-8、A-9、D-9に搭乗する僅かの人員
を有するJagdgruppe10は解散し、生き残った者達は新たに
Jagdstaffel10として再編成された。旧第3StaffelのFw190D-9
はR4Mロケットが装備されていたが、Jagdgeschwder301に編入
された。
結論として、新しい情報からR4Mを装備したDora-9はJGr10から
実戦部隊に送られましたが、それはII/JG26とI/301と考えること
ができます。我々の出版物で紹介した機体は、所在地と赤と黄色
のRV尾部帯から、恐らくJG301の機体の一つです。機体の個別
番号は見ることができませんが、文書からその部隊の第2Staffel
(赤番号)か第3Staffel(黄番号)に該当します。JG301のRV帯の
再現のためにモデラーの方には、まず後部全体に黄27で帯を描き
その上に赤いRV帯のデカールを貼るように推奨します。胴体背面
と垂直尾翼の前縁は81ブラウンバイオレットまたは83ダークグリーン
のどちらかを用い、写真に従って塗ってください。機体番号と色は
モデラーの方が自由に選択できます。
引用:
1. Brown, D.E., and Wadman, D., 1995:
History, Camouflage & Markings of JV 44, JG 6 and JG 1
Focke-Wulf 190Ds - Experten Decals No.3.
Experten Historical Aviation Research, Calgary, 36p.
2. Urbanke, A., 1998: Green Hearts ? First in Combat with
the Dora-9. Eagle Editions, Hamilton, 351p.
3. Urbanke, A., 1995: Verlegung in letzter Minute ?
Die Geschehnisse im Sammelgebiet Schleswig-Holstein und
die geplante Norwegen-Uberfuhrung.
Jet & Prop, Issue 3/95, pp.20-23.
4. Rodeike, P., 1999: Focke Wulf Jagdflugzeug ? Fw 190A,
Fw 190 “Dora”, Ta 152H. Struve-Druck, Eutin, 444p.
5. Experten Archive, via K. Aakra.
6. Experten Archive, via R. Forsyth.
7. Frappe, J.-B., and Lorant, J.-Y., 1981: Le Focke-Wulf 190.
Docavia / Editions, Paris, 408p.
ADDENDUM:
Fw 190 D-11 “Rote 4”, JV 44
この本(1)と正式の記事(2)の発行の後で、新しい情報が発見され、
Jv44のRote4の履歴に関する詳しい情報が明らかになりました。
この機体は当初Galland将軍のVebandesfuhrerschule, Stab
General der Jagdflieger (3)で作戦を行ったと考えられてきました。
他の220000台のWerknummerの限られた数のD-11(約20機)
も、この部隊で作戦を行ったことが知られており、全て白い機体番号
の前に白い矢形のStab識別マークを付けていました(4,5)
(Jv44で番号4が書かれる以前に撮影された写真では、この機体
もStabマークが番号58の前に描かれていました)。
D-11の既知の全ての写真に拠ればRote4には他の機体と異なった
迷彩が施されており(1,5)、この事とFw190V58は配属が特定でき
ない唯一のD-11試作機だと言う事実は、当初我々が提案して、他の
研究者も支持する(4,6)、Rote4がV58試作機WNr.170933だという
考え方に一致するものです。
引用:
1. Brown, D.E., and Wadman, D., 1995: History,
Camouflage & Markings of JV 44, JG 6 and JG 1 Focke-Wulf 190Ds - Experten
Decals No.3. Experten Historical Aviation Research, Calgary, 36p.
2. Brown, D.E., and Wadman, D., 1995: Bunt schutzt vor der eigenen Flak ?
Die Geschichte der Papagei-Staffel im Jagdverband 44.
Jet & Prop, Issue 3/95, pp.29-44, 66.
3. Forsyth, R., 1996: JV 44 ? The Galland Circus.
Classic Publications, Burgess Hill, 356p.
4. Rodeike, P., 1999: Focke Wulf Jagdflugzeug ? Fw 190A,
Fw 190 “Dora”, Ta 152H. Struve-Druck, Eutin, 444p.
5. Crandall, J., 1999: Doras of the Galland Circus ?
Eagle Files #1.Eagle Editions, Hamilton, 74p.
6. Herman, D., Dipl. Ing., 1997: Fw 190 D-11 ? Jagerentwicklung
der “letzten Stunde”. Jet & Prop, Issue 3/97, pp.18-23