2002.08.17 
              BMW801D-2 

      http://naca.larc.nasa.gov/reports/1945/naca-wr-e-192/naca-wr-e-192.pdf

                 言語は英語    NACA  作成
   
                主な内容
                  NACAがWW2中に発表した技術レポートの一つです。
                  BMW801にはKommandogeraetと呼ばれる自動制御装置
                  が付いていたことが知られていますが、ここでは
                  エンジンとこのシステムを組み合わせた場合の
                  テスト結果を報告しています。
                  1945年4月19日付けで公表されたものです。
                  
                  PDFファイルで全59ページ。前半19ページが報告書で、
                  項目は以下のように分かれています。
                  @マニフォールド圧コントロール
                    主に過給器のローギア状態で
                    どのように最適運転を保っているか
                    が検討されています。
                  A過給器ギア比コントロール
                    1段2速過給器のギア比の切りかえ方法
                    が検討されています。
                  Bプロペラピッチコントロール
                  C混合比コントロール
                    回転数2150rpm以下が低混合比、
                    それ以上が高混合比になっています。
                  D点火進角コントロール
                  E油圧コントロールシステム
                    約6000m以上で内部の油圧が徐々に低下し
                    このシステムの機能が低下してゆくと
                    報告されています。
                  F緊急時動作
                  G特性のまとめ(上記各項目毎)

                  後半は機構や結果説明の為の図表です。

                感想 
                  (私のような)エンジンに詳しくない人には
                  取っ付きが悪く、なかなか頭に入らないの
                  ですが、落ち着いて読むと面白いと思います。
                  要はこのシステムは、過給器の空気取り入れ口
                  弁とエンジン本体のマニホールド弁を
                  連結して動かし、エンジン回転数を変えても、
                  自動的に最適空気流量を実現できるようにした
                  ものです。
                  また理論的に計算できる最適混合比の燃料が 
                  エンジン側に供給されるようになっています。
                  過給器のギア比(二段)も最適高度
                  が選択されて、自動的に切り替わります。

                  このエンジンを装備したFw190Aは高度6000m以上で
                  性能低下が著しかったことが知られていますが、
                  具体的な数値で分かります。過給器の性能限界
                  が足を引っ張っており、これ以上では高度が上が
                  ると空気の濃度低下と共にマニホールドの空気流量
                  が低下する特性でした。 (Fig12)
                  これを解決する方法は、二段過給器やターボ
                  過給器があり、ドイツはこの方面では連合側に
                  ひけを取ったようです。
                  表を見ると、過給器がローギアからハイギアに
                  切り替わるところ(高度2000mくらい)でも
                  エンジン出力の低下が有り、Fw190Aはエンジン面
                  からは低中高度戦闘機だったことが分かります。
                  
                  注:但し、Bryan BuryのFw190D-9サイトの資料
                  ではJumo213A(1段2速過給器)を装備したD-9型で
                  も6000m以上での速度低下が有り、A型とD型
                  の比較について詳しい方の御意見を聞きたいと
                  思います。
                  
                                                                              ホームへ戻る