クロシジミ

N i p h a n d a  f u s c a


OM-4Ti ZUIKO MACRO 90mm f2
梅雨の昼下がり、草の香りあふれる草原で。
兵庫県 Jul. 2001
LARGE SIZE 75k
深い紫色の幻色が美しい、大型のシジミチョウ。

この蝶は、はじめアブラムシの蜜を舐めて育ち、その後クロオオアリの巣中で蟻から口移しで 餌をもらって育つという、蝶としては変わった生き方をする種類です。

年に一度、梅雨時に出現し、昼下がりの頃、左の写真のように雄が活発に縄張りを争うのを見る事が出来ます。
それに対して雌は不活発で、あまり飛ばないようです。雌の翅形は雄のそれに比べてかなり丸く、その事を物語っています。

本州と四国、九州に分布し、国外では、中国や朝鮮半島に分布が知られています。
アブラムシの好む若木の多い草原や荒地、明るい雑木林などに生息していますが、 このような場所は、遷移の途中にある不安定な環境の事が多い為、生息地はとても局地的で、また、長続きしない事も多く、 見つける事が難しい蝶です。
ただ、中には火山性の自然草原や、岩石質の痩せ地などに安定した生息地もあり、そのような場所では、たくさん見られる事があります。 しかし、現在の日本の感覚では、このような場所は"価値"の無い場所として、ゴルフ場や宅地などに改変されたり、植林が行われたり するため、この蝶も他の多くの蝶の例外ではないようです。