キリシマミドリシジミ

C h r y s o z e p h y r u s  a t a x u s

newFM-2T SIGMA 400mm/f5.6 APO MACRO
Jul. 1998 三重県 菰野町
LARGE SIZE 64k

F100 SIGMA 400mm/f5.6 APO MACRO
Jul. 2004 三重県 いなべ市
真夏の強烈な日差しの中で、
宝石のような翅がキラリと輝きました
LARGE SIZE 114k

ZEPHYRUS・・・・・・・微風の神。
シジミチョウの仲間に、ゼフィルスと呼ばれるグループがあります。
ギリシャ神話のそよ風の神と言う意味だそうです。
卵で越冬し、種類によって決まった時間帯に、オスの占有飛翔が見られるなど、 良く似た生活史を持っており、また多くの種類のオスは、金属光沢のある美しい翅を持っています。

このキリシマミドリシジミは、その中でも最も美しい種類の一つで、属名”Chrysozephyrus” は、黄金色のZEPHYRUSと言う意味です。
アカガシの森を翅表のメタリックグリーンと裏の銀色を交互に輝かせながら飛び交う様は、 しばし見とれてしまうほど印象的な光景です。
翅表の輝きは、玉虫やモルフォチョウなどと同じ構造色で、見る角度によって黄緑から紫まで変化します。

卵で越冬し、翌春孵化した幼虫は、主にアカガシの新芽を食べて育ちます。
成虫は、7月中旬から8月初めに出現し、アカガシのある渓谷で、正午前後、オスたちがテリトリーを 争って、樹上を目まぐるしく飛び交うのが見られます。

中国西部、ヒマラヤなどに分布し、日本では本州西半と四国、九州、対馬、屋久島のアカガシやウラジロガシの 自生する照葉樹林に局部的に分布しています。

三重県の菰野町では、県指定の天然記念物になっていますが、他の例に漏れず、採集を禁止したりはするものの、 生息地の保全は行われていないため、まったく意味の無い物です。
わずかに残ったアカガシの森は、各地で杉や桧の人工林に改変され、生息地が失われる一方なのは残念な事です。